『かのスサノオを祭る』須佐神社

神戸帰省中、中国地方をぐるりと回ってきました。この記事では、その途中に立ち寄った須佐神社について書いています。

須佐神社(すさじんじゃ)はその名前からも想像がつく通り、日本神話でもトップクラスに有名であろう神、スサノオノミコトを主神として祭る神社です。規模としては非常に小さいのですが、大社造りのとても格好良い本殿があり、霊能者の江原啓之によってパワースポットとして紹介された事で有名になったようです。以下、須佐神社を訪れた時の様子を紹介していきます。

スサノオノミコト(以下スサノオ)は、非常に大きな知名度を誇る神ですが、それ故に様々な創作物に登場してきます。自分の持っている中でも大暮維人の天上天下や士郎正宗の仙術超攻殻ORIONといった漫画で描かれており、どちらも全く異なる性格付けのキャラクターですがとても好きなキャラクターなのです。そんな訳で、一度スサノオを祭る神社に行ってみようと思い立ったのでした。

ちなみに先述の漫画に登場するスサノオは、一方は圧倒的な力を持った武と破壊と死の神として、もう一方もこれまた圧倒的な力を持った破壊神として描かれています。自分にとってのスサノオという神についてのイメージもこうした漫画の描写によるものが大きいのですが、この記事を書くにあたって少し調べてみると、なるほど中々面白い存在であるようです。このページはギャグを交えて?神話におけるスサノオを紹介しているのですが、面白く読ませて頂きました。オススメ。

須佐神社の基本情報

公式Webサイト
Wikipedia
Google maps


【住所】島根県出雲市佐田町須佐 730
【営業】年中無休、9:00〜16:00
【料金】無料
【駐車場】有(無料)
【問合せ先】須佐神社(電話 0853-84-0605)
【所要時間】約30分(※俺の場合)
【客層】不明(自分の他一家族しか居なかった為)

【個人的評価】2/5点
★★★★★:行かないと人生損してるレベル
★★★★☆:宿泊旅行の主目的になりうる
★★★☆☆:日帰り旅行の主目的になりうる
★★☆☆☆:宿泊/日帰り旅行の副目的になりうる
★☆☆☆☆:別件の用事で近くにあったら寄ってみたい
☆☆☆☆☆:可も無く不可も無く

現在のこの神社の本殿は江戸時代の天文23年(1554年)に建立されたもので、そこまで古いものではありません。神社の所在は須佐という地にありますが、この名前はスサノオが日本中を開拓して周り、最後に出雲の国を平定した後に自身を鎮めるためとして地名に自らの名を与えたものとされています(出雲国風土記)。スサノオの有名な逸話の一つにヤマタノオロチを退治した話がありますが、その退治の見返りとしてクシナダヒメと結婚し、この須佐の地に建てた宮殿(宮尾山山嶺といわれている)で暮らす事になります。元々の須佐神社はその宮殿の跡に建てられ、その後824年〜833年頃に現在の地に建てなおされたそうです。元々の神社がいつ頃建てられたものなのかは、調べてみましたがわかりませんでした。ちなみに神社の名前も次のように何度か変化しています。

  • 奈良時代:須佐社
  • 平安時代:須佐神社
  • 室町時代:十三所大明神
  • 戦国時代:大宮大明神
  • 江戸時代:須佐大宮、のちに出雲大宮
  • 現在  :須佐神社

なお、この神社には主祭神としてスサノオ、その妻であるクシナダヒメとその両親である(兄妹でもある・・・)アシナヅチノミコト・テナヅチノミコトの三柱の神を配祀しています。さて、この須佐神社、一体どんなところなのでしょうか?

え・・・こんなところにあるの??

同日、先に訪れていた松江城から意気揚々とナビに従って神社を目指すのですが、ついたところは思いっきり何もない場所でした。山の中の住宅街、平たく言えば田舎。かの有名なスサノオを祭る神社であり、パワースポットとして有名な場所という事前知識からはもっと人里からは離れた山の中とかにあるのかと想像していたのですが、こんな中途半端な場所にあるとは意外でした。俯瞰するとこんな感じです。

10数台ほど停められそうな広さの駐車場に車をおいて神社に向かいます。うお?思ったより小さいな・・・

ともあれ、鳥居をくぐって境内を進んでみます。

手水舎と亀

なんか亀が居ました。石碑には

神魂の 杖ともならむ亀すがた 世人の道を祓い清めん

・・・と刻まれています。この亀はどうも平成9年に奉納されたものだそうで、全然最近じゃないですか・・・( ´゚д゚`)
でも可愛いね!w

隋神門

この門は随神門といい、左右にそれぞれ随神(神域を守る存在)としてトヨイワマドノカミとクシイワマドノカミが祭られています。よく見えない?すいません(´・ω・`)
門の脇に小さな祠もありましたが、これは何だろう?わかりません。

東西末社

西末社と東末社。

随神門の左右には東末社・西末社があります。どちらも同じ造りのように見えます。この両方に合わせて八柱の神が祭られています。日本神話の神って、名前難しいですよね・・・憶えられる気がしません(;´Д`)

  • 天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)
  • 天穂日命(あめのほひのみこと)
  • 天津彦根命(あまつひこねのみこと)
  • 活津彦根命(いきつひこねのみこと)
  • 熊野樟日命(くまのくすびのみこと)
  • 市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)
  • 田心姫命(たごりひめのみこと)
  • 湍津姫命(たぎつひめのみこと)

須佐神社の七不思議

一枚の看板が目に入りました。この神社には七不思議があるそうですよ。どれどれ。・・・ほう、中々面白そうな逸話が揃っていますね!幾つかは実際に確認する事も出来そうですが、残念ながらこの境内だけでは済みそうに無い為全部のチェックは断念しました。

ところで陰無し桜の話に何か引っかかるものを感じるのは自分だけでしょうか?自分自身は基本的に祟とか神罰とかいった類のものは信じていないのですが、当時の人々にとっては神様の存在は信じて当然、少なくとも現代よりはずっと厚い信仰心を持っていたのではないでしょうか。・・・そうだという前提の話になりますが、いくら耕作が出来ないからといって、境内に生えている木をぶった切ろうという発想に至るものなのでしょうか?神様のものだから仕方ない、となるんじゃあないのだろうか?・・・そんな疑問を感じるのでした。

塩の井

さて、考えても仕方のない疑問はさておいて七不思議のうちの塩の井と相生の松はすぐにこの場で確認する事が出来そうです。もしかすると陰無し桜もあったのかな?

へ~。塩を含んだ水が湧くんだそうです。試しに神社から稲佐の浜までの距離を調べてみると・・・

約19km。めっちゃ距離あるけど本当にここから来てるんだろうか?ちなみに直近の海岸までは11kmでした。看板を読んだ時は一口飲んでみるかという気満々だったのですが、いざ井戸に目を落としてみると草が生えていてなんだか・・・実際にはその脇から塩ビパイプを通して出てくるものを飲むのでしょうが、飲む気にはちょっとなれませんでした(´・ω・`)

神楽殿

社務所

社務所の中を覗くと鏡が配置されていました。本殿に鏡があるのはわかりますが、社務所にもあるのですね。常識かもしれませんが、知りませんでした。

拝殿・祝詞殿

鳥居の方から見た拝殿です。太い注連縄と、祝詞殿には鏡もあり、至って普通の社殿のようにみえます。ところで神社には鏡が安置されているという事は知っていましたが、その理由まではよくは知りませんでした。せいぜい神様が使うものだから、というくらいのもの。良い機会なので調べてみました。

この鏡、神様だけではなく人間も利用するものなんだそうです。「かがみ」の真ん中の「が」を我、と読み、鏡に映る自分の姿を見なおして自分という存在を認め、良くも悪くも特別な存在であると気付くために用いるのだとか。そうする事によって、神の領域に踏み込めるのだそうです。この話は、天岩戸に隠れてしまったアマテラスオオミカミを外に出させる時の逸話にも関係している様子。アマテラスに対して鏡を見せる事でアマテラスに自身の神性を自覚してもらい、それが世にとって必要なものであるという事をわかってもらうという事です。

御本殿

御本殿は大社造りとよばれる造りになっています。大社造りとは神社の建築様式の一つで、出雲大社にも用いられているものです。神明造り(伊勢神宮など)、住吉造り(住吉大社)と並んでもっとも古い建築様式とされているものなのだとか。正方形に近い形状と、緩やかな曲線を描く屋根、そして中心ではなく右側に寄って配される入り口が他の2つの建築様式との大きな違いであり特徴だそうです。高い床は、弥生時代の高床式住居が発展して成ったものと考えられています。

こぢんまりとした社殿ながら、高い位置にあるためか迫力を感じました。むしろ、社殿が小さいからこそ装飾などの密度も高まってより強く感じられるものなのかもしれませんね。

大杉さん

小規模な鎮守の森の中にあってひときわ目立つ大きな杉。その名もまんま大杉。大杉さん、となんだかやたらとフレンドリーな呼ばれ方をしているらしい御神木。千三百年の樹齢と太さ6メートルの立派な巨木で、かつて加賀藩からの船の帆柱にするために買い取りたいという要望を当時の須佐地方を収める国造が断ったというエピソードがある。

江原啓之によって須佐神社がパワースポットとして紹介された事で急激に知名度が向上し、押し寄せてきた観光客による被害を受けたのもこの大杉さんだった。なんでも心ない観光客によって樹皮が剥がされ、持ち去られる被害が多発したのだという。現在は柵でまもられ、少しずつではあるが快復しているというがまだ被害に会う前には到底及ばないのだとか。

まぁ、確かにひときわ大きく目立つ立派な木ではあるのですが、そんじょそこらでは見られないレベルの物凄いものかというとそこまででも無いような・・・。

相生の松

須佐の七不思議の一つ、相生の松。松には雌雄がありますが、雄株と雌株がひとつの根から立ち上がるように見えるものの事を相生の松といいます。・・・が、既に枯れていて跡を残すのみだそうです・・・。しかもどれが跡なのかよくわかりませんでした(;´Д`)

三穂社

鎮守の森の最奥部にある小さな社殿。ミホツヒメノミコトとコトシロヌシが祭られています。横から回って裏手にいくと、可愛らしい小さな社殿がありました。

天照社

須佐神社は、一風変わったユニークな神社です。何がかというと、社殿の配置です。

画像の中央下部に鳥居があり、そこから上にこれまで紹介してきた社殿等が配置されています。しかし、主祭神であるスサノオの姉であり、スサノオ以上に知名度の高いアマテラスオオミカミを祭る社殿のみ、一つだけ離れたところにポツンと置かれているのです。それも入り口の鳥居の後方に、です。

鳥居から天照社に向かう道(これ境内っていうのかな)。アマテラスオオミカミはスサノオ以上に有名な神様ですが、その社殿はこぢんまりとしたものです。天照社もまた大社造りで、小さいながらもしっかりとその特徴を備えています。

天照社の手前に、横にそれる道があったので進んでみると川がありました。須佐神社の横を流れる素鵝川(そががわ)です。須佐川とも呼ばれるよう。特に何も感じるものはありませんでしたが、場所を変えれば綺麗な川なのかも?須佐の七不思議の一つもまた、この川に関連するものです。

須佐神社総括

大社造りの神社を目にするのは幼い頃以来です。その時の記憶は無いので、実質初めてと言えるでしょう。高床式の御本殿と、その手前の祝詞殿をつなぐ階段などの構造が物珍しく感じられ、小さいながらも迫力があって格好良いとも思いました。

小さな神社なので、写真を撮りながらゆっくり回っても30分しかかかりませんでした。出雲大社がここから車で一時間足らずの距離にあり、他にも出雲には様々な神社があるので、一緒に見てまわるのが良いと思います。

以上、須佐神社でした!次の記事では出雲大社を紹介します。

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